三枝子さんの留学アドバイス (第10号'99年6月〜第16号'00年7月)

◆ 藤岡 三枝子 Fujioka Mikiko プロフィール
  1969
1971
1975
1975
1976
1977
米国ワシントン州シアトル市レイクワシント ン高校留学
札幌北星学園女子高等学校卒業
英国ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ卒 業(歴史学)
英国レックスグループ ロンドンヒースロー ホテル勤務
近畿日本ツーリスト北海道海外旅行営業所勤務
SEA国際教育研究所の設立に参加し現在に至る







No.1 正規留学の正しい入り口・語学留学の意外な落し穴

留学に関する情報は氾濫気味で、留学を考えている人達は情報を集めれば集めるほど混乱してしまう程です。書店で留学関係の本や雑誌を読みあさったり、留学経験のある友人や知人から情報を得ても、自分の目的や状況にピッタリ合った情報を集めることは容易ではありません。逆に間違った情報や極端な経験談を聞かされ不安になったり、自信を無くす場合もあります。そこで今回実例を交えてお話するのは正規留学の正しい入口に付いて。留学の最も近道と思える入り口からスタートしたはずが、時として一番遠回りだったりする、というお話です。


実例1

 高校3年生のK君は米国大学正規留学を希望し、高校の先生に相談しましたが、先生も残念ながら留学に関しての知識がありませんでした。K君はどこに相談してよいのか解らず途方にくれましたが、どうしても留学を諦められず、留学関係の書籍を購入するなど、独自に情報収集を開始しました。幸運にも(?)多数の書籍から自分の探していた情報を得ることができ、K君は早速詳しい入学条件や方法等について確認し、その中から最も早く渡米できる方法、もっとも近道であるはずの入口を選択しました。ところが、その入り口がその後のK君に一番の遠回りを強いる選択だったのです。しかもその事実が判明するまでに数年の時間を要しました。
 K君は留学雑誌で見つけたある斡旋エージェントに連絡を取り、その簡単な準備内容の魅力にひかれ申込手続きをしました。そしてその留学斡旋機関を通じ、TOEFLなしで米国留学を実現させましたが、実は入学したのは大学の学部ではなく大学が提携する民間語学学校でした。当然、米国に居ながらもクラスには米国人はいなく、殆どが日本人や韓国、台湾からの留学生でした。K君はこの頃から少しづつ自分の状況について理解し始めましたが、時すでに遅く単調な英語の授業に学習意欲を失い、多くの日本人の友人に囲まれて英語よりも日本語に磨きがかかるようなあり様でした。K君が自分の間違いに気付いた時には3年が過ぎていました。しかし、K君の本当の留学はここから始まったのです。3年間に及ぶおよそ1000万円の援助にも関わらず語学学校に在籍し、まだ大学に入学をしていない事を両親に告白しました。(実は、両親はK君が3年前に大学に入学したのでもうすぐ卒業だと思っていました。)幸運にも彼は両親から再び援助を得て直ちに帰国し、今度は留学準備の総合プログラムを運営する留学機関で半年間学ぶという、一番遠回りに感じる入り口から始める決心をしたのです。その留学機関の語学判定テストではK君は自信があったにもかかわらず、TOEFL350点という悲惨な結果でした。3年間の語学留学で海外生活に最低限必要な会話力はついていても、総合的な英語力は高校卒業時からほとんど変わっていなかったのです。その後半年間、TOEFL対策や出願準備をその留学機関でみっちりやらされ、再留学したときは大学の授業にもついてゆくことができました。K君は2年半で無事短大の学位を取得して卒業し、費用も前回の留学の1年分を下回る金額でした


実例2

 ぶさんの場合は、留学するにはまず会話力と単純に考え「英会話&留学」という看板にひかれてある英会話学校に入学しました。ところが、実際に授業が始まると入学時の説明で受けた留学のイメージとは程遠い内容で、本当にこれで留学を実現できるの?と不安と焦りで一杯になりました。学校に説明を求めてもあいまいな返事ばかりで、またスタッフの変動も多く、入会時に留学に関しての手続きとサポートを約束をした人も辞めて居なくなってしまいました。後任者に交渉すると、留学のサポートは前任者の個人的好意の範疇だから、と相手にしてもらえません。Aさんの場合、結局数十万円支払ってしまったからとその学校を止める決心もつかず、ただ、貴重な時間がどんどん経過し、不安も増すばかりだったのです。

 この様に、最短と思える方法が結果的には最長の道のりになったり、簡単な手続きだけで実現出来ると思っても結果的にはそうでなかったりすることがあります。留学を考え始めたら、自分にとって正しい入り口を見つける事が最大のポイントで、これによって得られる結果に大きな違いが生じます。基本的には、英語力に自信のない人は語学研修(英会話ではない!)をきちんと行ない、進路指導から留学後のアドバイスまでを総合的に行なう機関を活用することが確実だと思われます。そして、留学準備機関を選択する時には次の1〜10の項目をチェックし、参照してみてください。

1. なるべく留学経験者かその家族等の紹介である事が望ましい
2. 相手の顔(存在)がはっきりしていて面談出来る
3. 留学に関してその実績があり、その機関で留学した人やその保護者を紹介してくれる
4. 資料、情報が豊富で質問しやすく説明も理解しやすく明確である
5. 費用菰態が明確であり、留学の予算に合わせた学校選びをしてくれる 
6. 正規留学の場合、特にアドバイザーが留学全般に熟知していると思える
7. 授業参加等の体験が出来る
8. 未成年の相談者には保護者の同伴を勧める
9. 語学や留学適正の審査をする
10. 1〜9について複数の団体を比較してみる事

以上、今後の留学準備機関を決定する目安として役立て、ぜひ留学を成功させて下さい。




No.2 留学に向けての準備活動 〜教育機関の選び方〜

どの大学に留学するか…。何千校とある大学のリストを見ているだけで、面倒になったり不安になる人も多いはず。しかも準備する事は、学校選択の他にも山ほどあります。今回は比較的時間がかかる、北米4年生大学の学校選択についてアドバイスします。チェックする重要ポイントは15項目。一つずつチェックしながら大学を絞り込んで、自分に一番ふさわしい大学を選んで下さいね。


1.専攻学科

 自分が学びたい専攻学科がすでに決まっている場合は、その学科を持つ学校の中から2.以下の条件を比較して決定します。専攻を決めていない場合は選択する大学の範囲が広くなります。専攻は3年次までに決定すればよいので、留学後に決めても構いません。


2.学費(年間経費)

 学費は専攻学科を優先すると、選択の幅が狭くなる場合があります。通常は自分の留学期間と留学総予算を考え、その予算範囲の中で対応できる学校を選択します。1年間の学費の平均はUS$15,000前後(US$10,000〜20,000)です。


3.語学・学力条件(TOEFL/SAT)

 TOEFLの入学基準点を確認し、SAT/ACTの有無も調べましょう。注意する事は、テストの申し込み締切日は実施日の6〜7週間前である事、そして結果が判るのに同じく6〜7週間を要する事です。(ただしコンピュター試験が導入される来年7月以降はこの限りではありません)


4.地理的条件(気候)

 地理的条件は個人の好みです。例えば「寒い冬が嫌い、一年中夏が良い」「ウィンタースポーツが好きだから雪のある所」「四季がある地域」「海が近い」「山や湖の近く」などの条件で選択します。


5.地域的条件(都会・郊外・田舎)

 地域は「都会」「郊外」「田舎」というように一応選択はできますが、「田舎」にある学校が多いと思って下さい。治安を考えると大都会はなるべく避けるべきでしょう。


6.規模(学生数・施設・設備)

 数百人から数万人まで、大学によって学生数は様々です。日本人留学生にとっては、5,000人以下の小規模な学校の方が良いでしょう。それ以上になると人間関係が希薄になりがちで、友達作りも大変です。慣れない留学生にとっては寂しい思いをしたり、ホームシックになる可能性もあります。


7.教授対学生の比率

 教授対学生の比率は重要なチェックポイントの一つです。1対20以下の基準で考えて下さい。比率が少なければ少ないほど、教授にとって学生の存在がはっきりと認識され、その分学生への対応も良くなります。


8.人種構成比率

 留学生活の最初の頃は、自分の廻りの環境イコール滞在国の全てとして映ったり、また判断しがちです。米国の場合アフリカ系、ヒスパニック系、アジア系の有色人種と、その他の白人種という人種構成が存在します。慣れない環境を考慮すると、白人種が約70%、その他30%が他の人種で構成されている、平均的な学校で異文化体験を送る方が、その後の留学生活をスムースに移行させると言えます。学費を最優先した例で、全学生の90%以上がアフリカ系の学生で構成されている学校を希望校の一つとして選んだ学生がいました。これが問題という事ではないのですが、留学の初期段階は廻りの環境からの影響を受けやすいので、何事もバランスを考える事が大事です。


9.留学生構成比率又は人数

 人種構成比率とも関連する事ですが、その学校で留学生がどれくらいの割合を占めているか、も重要です。学校の中には30〜40%を留学生が占めている場合もあります。8.の項目で述べたようにバランスが肝心。比率は10%以内を基準に考えて下さい。


10.レベル

 米国には4年制大学が約2,100校、2年制が約1,200校、合計で約3,300校あります。4年制大学は6段階に分けることができます。目安として中位ランクのCレベル以上(上位約1000校)から選択することをお勧めします。
・ MCレベル(約50校): Harvard,Yale,Middlebury等はかなりの難関校で授業料も破格です。
・ HCレベル(約100校):SUNY/Geneseo,U/Illinois,UCLA等もかなり難しいですが、日本人留学生に人気の高い学校も多くあります。
・ VCレベル(約250校):Elmira,Ramapo,Winona等は日本人留学生が十分狙える範囲のレベル校。
・ Cレベル(約580校):SUNY/Plattsuburgh,Kutztown, BuenaVista等は平均的学業成績とTOEFL480〜500点で合格圏範囲の学校。
・ その他LCやNCのレベル(約500校)はすべり止め程度に考えるのが良いでしょう。
* Special校としてJulliard,Parsons,FiveTowns等の音楽や美術大学も有ります。


11.大学が学生の為に企業・財団から得ている奨学資金

 学校が学生の為に企業や個人から寄付を募り、奨学資金用として確保している金額。この金額が多ければ学生に授与される割合も多くなるのです。


12.学生への奨学金資金と授与率

 学生に対して授与している奨学金の総額と、全体への授与率及び留学生への授与率。日本からの留学生にも授与されています。ちなみに私が留学カウンセラーとして関わる学生の20%前後が、初年度で平均US$3,000位の奨学金を得ています。


13.在学継続率と卒業率

 米国の場合、在学中に編入して学校を変わる事は珍しくありません。それだけに在学継続率(翌年又同じ大学で学ぶ事)や卒業率(入学した大学を卒業する事)で、学生の満足度をある程度判断することが出来ます。ちなみにハーバードからの卒業率は97%で、Cレベルの大学では50%前後です。


14.願書締切日

 願書締切日は各大学で異なります。十分間に合う様に準備して下さい。学校によって多少揃える書類が違いますが、基本的には次の書類を揃えます。願書、出願料、出身校の成績証明書、推薦書(2−3通)、エッセイ、TOEFL/SAT/ACT等のテストスコアー、財政証明書(残高証明書)。


15.入学審査課の対応の良し悪し

 入学審査課の対応を判断する重要なポイントは、願書等の資料請求に素早く対処しているかどうかです。何度請求しても反応がなかったり、数ヶ月も要する場合は要注意。その後の連絡にも同じ対応が予想され、時差や距離の有る留学生にはとても不利な状況に陥る場合もあります。  

以上を参考にして、留学を決意したらすぐに学校選択の作業にとりかかり、各学校から情報収集をして下さい。この作業は予想以上に時間と手間がかかりますよ。早めに、1年前、または1年半前に準備を始める事が成功の秘訣です!




No. 3 専攻科目が600以上! 〜学びたいことが見つかるアメリカの大学〜

『世界一』の評価を得ているアメリカの大学教育。その理由は幾つか挙げられますが、中でも日本の大学とは比べ物にならないと言われているのが、600を超える豊富な専攻科目です。そこで今回は、選択肢が多い故に留学生が特に戸惑いがちな専攻科目について、その選択の基準や選択の時期などをお話しましょう。


専攻科目をいつ決めるか

 入学時に決まっていなくても問題はありません。自分の方向性や適性がまだはっきりしていない学生は十分時間をかけて専攻を決定すれば良いのです。私が関わった多くのケースでも、敢えて専攻科目にこだわらずリベラルアーツ(教養)のクラスを取り、その過程で興味や適性、将来性などを基に学生自身が決めたり、教授陣にアドバイスをもらったりして決めています。最終的に専攻を決定するのは3年次までで良いのです。
 当然ながら、専攻によっては入学する大学がある程度限定されます。しかし、希望する専攻が特に決まっていない場合はリベラルアーツ系大学への入学も良いでしょう。余談ではありますが、人事の仕事に携わっているアメリカ人の友人によると、最近はアメリカ人学生も書く力(文章力)が落ちて、履歴書等の大事な文書でさえスペルミスが目立ち、実践の仕事上でも文章力の乏しさが指摘されるそうです。その中で高い文章力が認められているのはリベラルアーツカレッジ出身者で、これは学生時代に一般教養科目で徹底的に文章力を鍛えられる結果だそうです。


選択は学生本人の意思が尊重される

 学生は各学期に取得したい科目を自由に選択し、登録します。最初から専攻する分野が決まっている人はその専攻科目、又は希望する専攻の系列に添った科目を中心に登録をするのですが、それ以外にも興味のある分野の科目を自由に選択し登録する事ができます。例えば宇宙物理専攻の学生が演劇や陶芸のクラスを取る事も出来ます。また、学生が自分で自分だけの為のコースを作ることも可能です。4年生大学で医学進学過程のコースを専攻し、医学校で医師の資格を取得する事も可能です。入学時に登録した専攻を途中で変更し、他の専攻にする事も可能です。このような柔軟性が、実社会に即した実践的な教育と並び、現在の日本の大学教育と大きく異なる点です。入学したら殆ど自動的に卒業させる日本の大学と違い、学生が自分で必要な科目を修得し単位を積み上げるまで卒業を認めない厳しさはあります。しかしその一方で、努力する学生に対しては教授は個人的な時間をも惜しみなく提供するほどの徹底した個人サポートを行います。
尚、単位については他大学で受けた科目の単位が認められたり、他大学へ単位を移行することが制度化されています。更に在学期間についても、各学期やサマーセッションの取得単位数により4年以下での卒業も可能になります。休学し、一度社会に出てから復学し、卒業単位に到達した時点で卒業する方法もあります。アメリカの大学では日本などの外国大学からの単位移行や転学も認めています。


専攻科目の紹介

 音楽ビジネス/不動産・ホテル/レストラン/航空・保険・旅行サービス/コンピュータ/情報科学/ビジネス情報/統計/数学/人工知能/ロボット/システム分析/ソフト開発/データ処理/グラフィックス/環境保護/天然資源再利用/森林・水産資源/野生保護/都市環境/環境管理法/歴史物保全/国際援助/セラピー/貧困・障害者問題/映画理論/映画史/映画評論/映像表現/撮影/録音・音響/監督/演技/映画製作/映像産業/特殊撮影/脚本/TV・ビデオ/アニメーション/CG/映像広告/写真/サウンド/音楽理論/作曲/指揮/声楽・オペラ/演奏・楽器/ジャズ理論/演奏法/アンサンブル/ミュージカル製作・監督/ダンス/ボイストレーニング/電子音楽作曲・編曲/音響デザイン/音環境/ミキサー/放送音楽/クラシックバレエ/モダンダンス/演出/ジャーナリズム/マスコミ/広告/スピーチ/映像・教育メデイア/美術史/絵画/彫刻・工芸/舞台美術/衣装・照明/インテリア/ファッション/グラフィック/ロゴタイプ/イラスト/フォトアート/コマーシャル/都市計画/造園設計/地域計画/色彩計画/医学/歯学/獣医学/薬学/看護学/スポーツ医学/理学療法/セラピー/リハビリテーション/スポーツ指導員養成/スポーツ選手養成、等々

以上がほんの一例で今回の誌面には載せきれない、まだまだ多くの専攻科目があります。残りは何かの折にお知らせしたいと思います。




No. 4 忘れてませんか?留学前に必要な手続き

 入学決定後、最も大切なことは自分が入学する大学のパンフレットやコースカタログ等の資料を読んで、内容を把握しておく事。通常は入学が許可されるとその後に、おびただしい量の書類が大学から送られて来ます。これらの書類にはきちんと目を通して、学習に関するもの、生活に関するもの、期日指定の申し込みや、返事を要するもの、などに整理しなければなりません。ところが、この一番大事な時期に、入学が決まって浮かれてしまう学生が必ずいるんですよね。これらの書類の対応をスムーズに進められない学生は、往々にして先の大学生活でも苦労するものです。中には送られてくる資料をただ山積みにして、出発前日まで家族をも捲き込んでのパニック状態になる最悪のケースもあります。留学生活を成功させる必修科目の第一は、ひょっとすると「文書対応能力」かもしれませんよ。今回、説明する 項目は忘れると大変なことになるので気をつけて!


1 「ビザ申請」

 米国の場合、入学が決まると「I-20」と呼ばれている学生ビザ《査証》取得に必要な正式書類が大学から送られて来ます。学生ビザ取得に関しては個人申請と旅行代理店等を通す代理申請があります。基本的に揃える書類はパスポート、I-20、申請書、写真、最終学歴の卒業証明書、成績証明書、財政(残高)証明書、ビザ申請料ですが、代理店や申請する個人によって他の書類が必要な場合もありますので、確認を忘れずに。又、米国以外の学生ビザに関しても旅行代理店や大使館等に問い合わせて確認をして下さい。


2 「寮の申し込み、健康診断(予防接種証明)」

 出願や入学意思決定が遅れた場合は寮に入れないケースもありますが、それ以外の場合は留学生に対し優先的に入寮を保証している大学が殆どです。入寮の手続きは簡単なものから、かなりの個人情報(起床や就寝時間、趣味、特技、自己性格分析、学習時間帯、希望学習環境、ルームメイトの性格まで)を提供する手間のかかるものまで様々です。期日までに返答しなければ入寮や希望は保証されないので注意しましょう。又、予約金を小切手で一緒に送らなければ手続きとして完了しません。この点も十分気を付けて下さいね。
 健康診断や予防接種は大学や地域によって内容が多少違います。事前に「母子健康手帳」を用意して、英語の文書に対応できる病院に行って下さい。留学前に予防接種が必要な場合もあります。数種類を受ける場合、かなりの期間を要する事もありますから時間的に十分余裕を持って対応しましょう。


3 「出発日、出迎え依頼」

 オリエンテーション開始日、到着便と出迎え依頼等に関する書類も送られてきます。留学生を対象としたオリエンテーションは一般学生とは別に行われ、大学への到着日もそれに合わせることになります。指定している最寄の空港までの航空券の予約・購入をし、同時に出迎え依頼として大学に到着時間等のフライトスケジュールをFaxやE-mailで知らせます。航空機の離発着の遅れやキャンセルも想定して、その場合の連絡先や自分で行く場合の方法も確認することが大切です。公立大学等の出迎え依頼は有料の場合があります。


4 「その他の書類」

 留学生クラブへの入会、同窓会からの案内、学長や学部長、学生カウンセラー、寮のルームメイト等から続々と資料や手紙が送られて来ます。特に返事を出す必要のない挨拶の手紙が殆どですが、ルームメイトから自己紹介などの手紙がきた時は、返事を出した方が今後の寮生活や友人作りにはプラスです。これもよく起こることですが、本人がすでに日本を出発した後で、大学から郵便物が届いて英語の苦手な家族が心配するケースがあります。事前に大学側に自分への郵便物が届く有効期限を知らせておけば、この様な行き違いを防ぐことができます。5 「現地で必要な身の回り品」
 現地への到着は日本から行く場合、西海岸を除いて殆どが夜の時間帯に到着となります。大学によっては空港から更に車で数時間を要する事もあり、寮に到着した時にはもう時差ぼけや緊張のせいで、ドッと疲れすぐにもベッドで横になりたいと思うはずです。でも寮のベッドには自分が持参しない限り、シーツも何もない状態というのが普通でしょう。大抵は大学が寝具を貸してくれますが、基本的には自分の物を揃えます。シーツ、毛布、枕、タオル、電気スタンド、ごみ箱、その他シャンプーやバスソープ、洗濯用洗剤の日用品等の買い物が必要です。買い物は銀行口座の開設と共にオリエンテーション期間中に行います。近郊出身の学生は冷蔵庫やテレビやコンピュター等を部屋に持ち込んでいることも多く、ルームメートだったらLuckyです。




No. 5 「成功する留学の鍵 大学生活8つのポイント」

 早いもので、このシリーズも5回目。いよいよ今回は現地での大学生活についてお話します。前回も触れましたが、自分の留学先(高校・大学・大学院)の事をよく理解する事が大切です。出発前にパンフレットやカタログ等でしっかり予習しておきましょう。


1 「クラス登録」

 留学生の場合TOEFLの点数で英語力が判断されますが、多くの大学は独自の英語や数学の判断テストを行います。その結果によってアドバイザーがクラス選択をアドバイスしてくれますが、最初の学期はESLの英語のクラス、数学、コンピュータ、体育、芸術系のクラスの中から4〜5科目12〜15単位を選択するのが無難です。何も慣れていない最初の学期から難しいクラスを選んで悪い成績を取るより、比較的楽なクラスで良い成績を取り、単位をしっかりキープする方が賢いと言えます。慣れてきた時点で本来の希望に添ったクラスを選択しましょう。成績が良いと2年次以降の奨学金獲得にも優位です。


2 「授業」 

 最も大切なのが出席率と積極的に発言するなどの授業に対する参加姿勢です。「欠席しない、遅刻しない」を心掛け、席も前の席に座るなど、教授に貴方の積極性をアピールして下さい。決して終始無言だったり、「ニヤニヤ」照れ笑いをしない事です。課題や宿題をきっちり期日までに提出することも重要です。万一、期日に間に合わない、わからないという時にも、担当教授に事前に相談して解決します。授業の中でもわからない事は授業中か授業後に相談し、問題を解決することです。「わかったふり」は禁物です。


3 「成績」

 留学先の学校がどのような成績基準なのか理解しておく必要があります。必ずカタログに詳しく説明してあるので、成績、評価、単位や時間数について理解しておきましょう。そうする事で、好成績の維持や、転校や奨学金を獲得する際に役立ちます。成績が悪いと転校時に履修した実績が評価されない場合もあるので十分注意して下さい。


4 「課外活動」

 勉強だけではなく、スポーツ系、文化系、ボランテイア活動等にも積極的に参加してみて下さい。そうすれば、「友達が出来ない」「淋しい」「英語がわからない」などを解決する事ができます。私が関わった生徒さんの中で最も成功している例はスポーツをしている生徒です。現地の学生と毎日放課後に練習をする為、友達や自分の居場所にも不自由せず、英語も通常の数倍早く上達し、成績上位者として頑張っています。


5 「寮生活」

 皆さんの殆どは寮生活の経験がなく、当然ながら他人と生活した経験もないと思います。欧米の大学では寮生活も教育の一部と考え、1年生が寮で生活することを義務づけている学校もあります。ほとんどは二人部屋ですが、優先的に3、4年生や上位成績の希望者に5人部屋が与えられることもあるようです。学生の中にはプライバシーを求めてアパート暮らしをする人もいますが、正直なところ私は賛成ではありません。確かに一人暮しは自由気ままで快適かもしれません。しかしその反面、社交性に欠け友達が出来にくく、孤独になりがちです。少なくとも最初は寮生活で多くの人と積極的に関わり、自分の生活基盤を確立して下さい。


6 「友達」 

 皆さんは今まで意識して友人を作ったことがありますか?留学先での友人作りには努力と勇気が必要です。ルームメイトや他の人に自分から話し掛け、わからないことは尋ねて仲良くすることです。ただし、「Yes」「No」ははっきり伝えること。特に拒絶する場合の「No」は毅然とした態度が必要です。日本人特有のあいまいな表現や態度は誤解を生む原因です。私達日本人は自分の意思よりも他人が自分をどう評価するかを気にしがちですが、自分の気持ちを素直に伝えた方が、自然に米国文化に順応できるでしょう。


7 「イベント」

 大学では週末などにダンスパーテイー、コンサート、観劇、映画、スポーツ観戦等の様々な行事を開催します。せっかくのチャンスを活用せずに寮で寝ていたり、一人で過ごしていては友達作りの機会を逃してしまいます。特に留学直後は友達作りも勉学の一部と考え、何処へでも積極的に参加することをおすすめします。


8 「ホームシック」

 皆さんのほぼ全員が程度の差こそあれ、「ホームシック」と言う病気にかかります。この病気の特徴的な症状は落ち込み、疲労感、自信喪失、疎外感、孤独感、不安感などです。具体的には、友達がいない、仲間に入っていけない、授業がわからない、英語が理解できない、学校を辞めたい、寮を変わりたい、帰国したい等、異文化に適応する事を拒み、ネガティブになっていきます。特効薬はありませんが、本人が状況を正しく理解してその状態から脱する努力をすることです。自分が変わらなければ何も変わりません。留学を成功させる鍵はここからスタートするのです。




No. 6 「海外留学の常識&非常識」

 今や海外留学は、将来の選択肢の一つ。書店では何種類もの留学雑誌が並び、インターネットでも留学に関するサイトは数え切れません。しかし情報の海の中、すっかり「迷子」になっている人や間違った知識を持つ人が急増しているのも事実。という訳で、今回は北海道で二〇年以上も学生達を海外に送り出してきたSEA国際教育研究所の藤岡さんと、語学留学、ホームステイの相談を数多く受けている北海道留学センター代表の西村さんに、海外留学に対するよくある「誤解」や「非常識」について対談して頂きました。


西村 実際にカウンセリングに来る皆さんのお話を聞いていると、本人と両親の間で少なからず留学に対する理解のギャップがあるようです。社会人の場合も、留学に関するイメージと現実の間に多少のズレがあるようですね。

藤岡 そうですね。誤解にも色々あるようです。留学プロセスの時期ごとに常識・非常識をお話ししていきましょうか。
 1 留学を考え始めてから
 2 留学の準備を始めてから
 3 留学の手続きを進めながら
 4 出発直前
 5 現地に到着、勉強、ホームステイが始まってから
 6 留学半ば
 7 帰国直前
 8 帰国後

1 留学を考え始めてから

西村 留学したいと考え始めると、本屋さんで留学専門誌を立ち読みしたり、インターネットで留学情報をサーチしたりするようですね。私もどのような情報が出ているのか、時々本屋さんに立ち寄ってみます。その度に思うんですが、雑誌には良い事ばかり載っているんですね。当然といえば当然ですが、そのイメージを自分に当てはめて想像してしまうと、そこからギャップが広がっていくと思います。また、相談に来る人で多いのは「どの学校がいいのでしょう?」と混乱している人です。

藤岡 たまに、この人は同業者じゃないか?と思うほど情報を持っている人に会うこともありますね。でも、肝心なところは留学雑誌のレベルを超えていない。留学雑誌を過信するのも危険です。製作している人達全てが留学経験者とは限らないし、まして留学形態の全てに精通している訳ではないですから。すでに出版されている資料を元に作られた二次的な情報誌もある訳です。留学に関しては毎日のように現地の学校と連絡を取り、進路指導にあたっているカウンセラーが一番生の情報を持っていると思います。情報量は現地(=例えばアメリカ)の教育関係者よりはるかに上かもしれませんね。

2 留学の準備を始めてから

西村 準備段階に入ると留学する国の情報や、パンフレット、願書を取り寄せることになりますが、ここでどういう基準で学校を選択するのか、分からない人が多いようです。例えば留学専門雑誌などの学校一覧を見ると、どの学校も「GOOD」なんですね。結局、授業料で比較したりする。逆にカウンセリングが進む内に、留学のトータル費用が見えてきて、アメリカを希望していた人が、カナダやオーストラリアに留学先を変更するケースも結構あります。大学の正規留学の場合は、どうですか?

藤岡 正規留学の場合は希望国の変更は殆どありません。しかし、自分の実力にそぐわない大学に固執するブランド志向の人が多くいます。教育は買い物ではないので、自分が費やす時間と学習労力、資金の投資効果を最大限に考えて欲しいと思います。

3 留学の手続きを進めながら

西村 学校の選択が終わり、いよいよ願書提出となるわけですが、正規留学や専門学校留学ではTOEFLテストを受けて、その結果を添付しなくてはいけない。よくTOEFLの点数が少し足りないと相談を受けます。専門学校は付属の語学学校がある場合は、八週間から十週間の語学研修を受講することで仮入学が許可されるケースがあります。「TOEFL免除で入学できる」と広告しているところがありますが、その殆どが付属の語学学校への入学で、いつ大学に入れるか分からない場合が多い。

藤岡 非常に深刻な問題です。語学プログラムには大学が直接運営し、単位も認める所と、民間の語学学校が大学の委託等で運営している所があるので、そこの違いをきちんと認識する必要があると思います。二〇〇〇校近くあるアメリカの4年制大学の内、当校が留学希望者のためにセレクトしている学校は上位約一〇〇〇校ですが、TOEFL免除の学校は一切ありません。もし、自分がまともな学校の関係者と想像したら、授業に使う言葉の能力が分からない人に入学を許可しますか?最近は現地の学生同様に英語や数学の診断テストを要求する傾向もあります。

西村 出発直前までの常識・非常識について話をしましたが、話すことが沢山あって一回では語り尽くせませんね(笑)。最後に一言、日本で勉強をしなかった、学校の欠席が多かった人が、海外の学校に入学することで人が変わったように勉強熱心になり、無遅刻、無欠席になるとは思えません。留学を考えている人は現在の生活習慣を見直して下さい。次回は出発から渡航後についてお話しします。