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韓国が赤く染まった! (June 2002)

東洋のラテン気質が騒ぐ

 ワールドカップはすごい! 市場を歩けば、店番のおばちゃんが中継を見ている。普段なら「のど自慢」にチャンネルが合わせられているはずだ。食堂に行っても、みんな食事を忘れて画面に見入っている。さらには、国鉄の中でも、衛星放送によって試合が流されている。そこは、まさに動く競技場。
 この1カ月、韓国はサッカー一色だ。国土は日本の3分の1でも、血の気の多さは日本の3倍という東洋のラテン気質が騒ぎ、韓国戦の日は、朝からみんな仕事が手に付いていない。韓国人は、サッカーが好きだ。特に、男性で「サッカーに興味がない人」は稀だと言われる。韓国人女性が、嫌う男性のタイプというのが3つあって、ひとつは「軍隊の話ばかりする人」、次が「サッカーの話ばかりする人」。そして、一番嫌なのが「軍隊でサッカーをした話をする人」なんだそうだ。

見たい! フィールドの貴公子

 在韓7年、私もそろそろ血中韓国人度がかなり濃くなってきた。にわかサッカーファンの私も、格好いい、男前の選手の妙技が見たい! ここ数年で、韓国サッカー界の技術レベルはもちろんのこと、顔のレベルが飛躍的にUP!した。フィールドには貴公子がわんさか。しかし、大人気の韓国戦は、チケットが当然ながら完売。競技場に行きたいが、チケットはなし、テレビを見たいが、部屋にテレビはなし・・・さて、どうしたものかと思っていたが、以前、「レッドデビルズって、スゴイぜ。公園の大画面映像見ながら、スタジアムにいるのと同じように手振って、声出して応援してんねんから」と聞いたのを思い出した。レッドデビルズとは「赤になれ!」と書かれたTシャツを着て、韓国民謡の「アリラン」をアレンジした応援歌を絶叫するサポーター。おおお、そうだ! 公園の巨大スクリーンのところなら、タダで見られる?。

行こう!行こう!街中の公園!

 私がかけつけると、すでに公園は千名を超すであろう真っ赤なTシャツを着た韓国人で埋まっていた。ピードンドン・パフパフ「てーはんみんぐっ (日本、ちゃちゃちゃに相当)」と声援を送っている。ビールや、カップ麺を持って応援している人もいる。私も持参の韓国おやつを食べつつ、一緒に観戦。公園で観戦する分には食べ放題・飲み放題である。サッカーの試合はいい! 本当にいい! とりわけ韓国人と一緒に見るのがいい! 選手が走れば大声で叫び、失敗すれば、悪態をつく。ソウルから遠く離れた地方都市の公園でも、これだけ大勢の人たちが、息を飲んでサッカーを見ているのである、これを愛国心と呼ばずしてなんと言おう。熱気は、競技場に負けるとも劣らずだ。サッカーなんて興味がないと、ちょっと斜に構えているアナタ! ぜひ、韓国人といっしょに試合を見てみませんか? 韓国の地方都市テグでは、公園の大画面前の特等席を準備して、お待ちしています。いっしょに赤く染まりましょう!

2002.6.10
by 上野うみ  テグ市在住



イースター in デンマーク 第27号'02年4月

イースターから始まる春

 ここデンマークでクリスマスの次に大きな年間行事といったら「イースター(復活祭)」である。デンマークはキリスト教を国教とし、なんと国民の9割以上がキリスト教の信者。とはいえ、日曜日毎に教会に行く人はその内の4〜5%に過ぎないというから、冠婚葬祭の時だけ神社やお寺に行く、どこかの国と似ているかも?
 イースターは3月の終わりか4月の初めにあるが、学校が一週間お休みになったり、子供たちに人気のLEGOランド(LEGOブロックのお城や動物がいっぱい)などの遊園地も開き始める。待ちに待っていた春の始まりである。

"誰から来たのか当ててごらん"

 さて、イースターに関係した子供達の遊びに "ゲッケ・ブレウ" というのがある(ブレウは「手紙」の意味)。実は私にも、この "ゲッケ・ブレウ" が送られてきた。紙を折りたたみ、それにハサミを入れてきれいな模様を作ったあと、その紙に自分の名前を書く代わりに名前のアルファベットの数だけドット(点)を書く。そして『誰から来たのか4日以内に当ててごらん。当てられなかったらチョコレートをもらうよ。』といったメッセージも書いてある。そう、私はこの手紙が誰から送られてきたのか当てなければならないのだ。これが私の7歳になる息子から送られてきた手紙であることは明らかだが、私が当ててしまうと息子はチョコレートがもらえなくなってしまう。だから私は、誰から来たのか見当もつかないわねー、という "フリ" を続けたのだが、これがなかなか難しかった!
 ところで "ゲッケ・ブレウ" という言葉がどこから来たのか、私は夫の家族に尋ねてみた。その場には国語の先生を含めて8人の大人がいたが、デンマーク人でも知らない人がほとんどのよう。私が得た答えは、春一番に咲く花の一つに "ヴィンター・ゲッケ" (ヴィンターは「冬」のこと)という花があり、ちょうどイースターの時期に咲くので、この花から来たのではないか?とのことだった。

イースターの大人の楽しみとは・・・

 では、大人の方の楽しみは? それはやはりビール!カールスバーグとツボー(又はツボルグ)は日本でもお馴染みだが、デンマークにはその他にも小規模な地方のビール会社が20近くある。これら大小のビール会社がクリスマスやイースターの時期には期間限定で何種類も出すのである。イースター・ビールは普通のビールよりも少し強めのものがほとんどで、アルコール度5%位から8%位が多い。値段は330ml瓶一本30円〜と、日本に比べぐっとお安め。ビール好きの向きにはイースター時期のデンマーク旅行はおすすめかもしれない。家族を呼んでのイースター・ランチでは、このビールがスイセンの花、イースター・エッグ、緑と黄色で統一されたナプキンと共にテーブルに置かれる。子供達は大人が庭に隠したイースター・エッグを探して走り回り、大人達はビール片手に気楽におしゃべりを楽しむ。家族がそろってホッとできる楽しい一日である。



シドニーの夏、マルディグラの夏 - ゲイの目抜通り 第26号'02年2月

シドニーの夏はもうすぐ終わり。今年もゲイ&レズビアン・マルディグラ(Sydney Gay & Lesbian Mardi Gras : 2/8?3/2)の季節がやって来ました? 毎年ゲイ・アート展やピクニック、パーティー、パレードなど盛り沢山で、当地だけでなく世界中から観光客がこの街に押寄せます。
さて、ゲイは最先端都市シドニーといえども少数派(昨年実施の国勢調査には、その筋に関する項目もあり、結果が待ち遠しいところ)。ですが、ゲイの目抜通りとも呼ばれるオクスフォード通りを歩くと、この人達は今まで一体どこに隠れていたの?といった印象を受けるでしょう。昼間から光まばゆいカフェで歓談したり、カラフルなブティックで買物したり、アート誌(ゲイ雑誌とも呼ぶ)を立読みしたり、仲睦まじく手をつなぐ彼らがいます。低音ノイズがこもる週末の夜ともなると、BYO(酒持込可)のレストランで遅い食事をとり、その後ゲイバーやナイトクラブに繰り出す若者から年配者で賑わいます。ちなみにこの通り、あの高橋直子選手もオリンピックで走りましたよ。(黄色い声援届いたかしらん?)

暮らしやすい街、シドニー

そう、私たち「業界人」が平和に暮らせるのも、これまで弛みないゲイ・アクティビストの苦労の賜。今では公の差別防止策は万全に近いです。結婚こそありませんが、社会保障は異性カップルとほぼ同じと言っていいでしょう。最近では、これまで認められていなかった退職者年金の「配偶者としての権利」もゲイ・カップルに適用される見通しとの事。また就労面でも保護され、私の同僚もその道に理解を示してくれています。「グラディエーター」のラッセル・クロウ(この人は残念ながらストレート)が主演のThe Sum of Us は、シドニーが舞台の、父とゲイの息子の絆を描いた豪映画。映画の世界でも憧れの対象に事欠かないということでしょうか。

妖艶な山車が練り歩く

さて、マルディグラ(パレード)。その盛り上がりはテニスの全豪オープン(メルボルン)を凌ぐ規模と言っても過言ではありません! もともとNYのストーンウォール事件(一九六九年、日頃の警察のゲイに対する嫌がらせに抗議、暴動に発展した)の記念日に国内の約千人の活動家・支援者がパレードしたことに始まりますが、今では約3週間の祭りを締めくくる恒例行事となり、96年には鑑賞者が65万人!!に達するまでとなりました。夜のオクスフォード通りを中心に1km強、数々の派手で妖艶な山車が練り歩きます。しかし子供が見てていいのか?(笑) 真面目なものからおちゃらけまで、日本からはるばるの山車や、最近では本物の警察の団体まで参加してるんですよ(興味のある方はwww.mardigras.com.auをチェック)。その後、パーティー券を手にしたラッキーな人たちは翌朝10時まで踊り、元気な人はさらに場所を変えまた踊る、と想像を絶した週末に。そしてお金を使い果たした可哀想な私たちは、翌年の祭りのためにまた働くんですね(爆)。



『9・11』 第25号'01年12月
byオースティン・勢津子 カリフォルニア在住

「プレッジ・オブ・アレジャンス」

九月十一日。ワールド・トレードセンターで兄が仕事をしているというアメリカ人の友達は、小さい子ども達を不安がらせないために、目に涙をいっぱい溜めて我慢していた。「きっと大丈夫よ」と言う以外に何もできなかった私だが、その後「兄から電話があった」と聞いた時は心底 ホッとした。
八階にいた彼女のお兄さんは、飛行機がビルに衝突した時点で避難したそうだが、その時点では事の重大さが理解できず、その後、ビルが崩壊してからは混乱で連絡を取るのに苦労した。友人に連絡があったのは九時間後のことだった。
九月十一日以来、アメリカ人の態度にはかなりの変化が見られる。元々愛国心の高い国民性であるが、星条旗や星条旗のステッカーが品切れになるほど売れた。小学校では赤、白、青の星条旗カラーを着る日を設けたり、右手を胸にあてて国歌や国に忠誠を誓う言葉 "Pledge of Allegiance" を、今迄以上に熱心に教える教員達の姿がある。うちの子供たちも学校で配られたコピーを手に一生懸命練習していた。また、在米日本人の中にも国旗を掲げるなど、「テロに屈しないアメリカを応援する」意を示す人々の姿が多く見られた。

さびしかったハロウィン

これまで『自由』の主張の下に多くの外国人旅行者、留学生、ビジネスマンを受け入れ、難民や移民に市民権を与えてきたアメリカ。そのアメリカで外国人の受け入れ体制の見直しが叫ばれ、空港では武器を手にした軍人を見かける。
私が住むサウス・カリフォルニアのメキシコ国境でも警備が厳しくなり、以前は三十分とかからなかった検査が、四、五時間はかかる。メキシコ系アメリカ人の友達は「故郷が遠くなった感じがする」と嘆く。
テロ事件の影響は数知れず。毎年ハロウィンには、私の家にも何十人という子供達が仮装してキャンディをねだりに来るのが、今年はなんと、家に来たのはたったのニ人!「テロリストがキャンディに毒物を入れる可能性があるので、なるべく控えた方がいい」という声があり、教会やごく内輪だけですます家庭が多かったようである。沢山キャンディを買っておいた私は、がっかりというのが実感だった。

郵便物を受け取る恐怖

さらに、追い討ちをかけるようにAnthrax(炭疽菌)騒動がアメリカの日常生活を不安へと駆り立てている。フロリダの、発見された場所からそう遠くない所に住む私の妹は、当初「外に出たくない」と不安がっていた。知名度のある人達を狙った行為とは思っても恐怖は拭えない。私は郵便受けを調べる時には必ずゴミ袋を持って行って、広告や送り手がよく分からない物は開けずに袋に入れ、そのまま外のゴミ箱に運ぶ。
アメリカはツインタワー崩壊後、心を落ち着かせる暇もない Anthrax 騒ぎで抗生剤のシプロが飛ぶように売れ、今度は Smallpox(天然痘)ではないか?と騒いでいる。この様な噂が広まる度に一般国民は振り回され、薬を手に入れようと必死になったり、空港を避けたりしている状態だ。自由の国アメリカの自由が狭められてきている事を実感せずにはいられない。



香港・日本の連ドラ大人気 第24号'01年10月
by 大原サキ 香港在住

香港・月餅の秋

香港の秋と言えば『月餅』である。中秋の名月には欠かせない存在であり、また日本のお中元のようにお世話になっている会社や親戚などに配る風習もある。日本にも月餅はあるが、本家・香港の月餅は直径十センチ、餡と塩漬けのアヒルの卵が二つも入っているほか、豚の油も結構入っておりカロリーはかなり高い。一人一個なんて食べる人はまずいないのだが、この時期が来ると毎日のように食べてしまう私。当然、秋は太ってしまう。
最近では、サイズが小ぶりで、コーヒー味やツバメの巣味なども出ている。また、ネット予約や、世界中に住んでいる華僑の為、月餅券なるものも登場。これは全世界の最寄りのチェーン店で月餅と引き換えできるシステムで、わざわざ重い月餅を送らなくても済むため、贈り物に好評だ。この時期しか食べられないお菓子・月餅。皆さんも 香港にいらしたら、ぜひお試しあれ。

とにかくキムタク

私は、観光ガイドブックの取材や旅行ガイドなどの仕事をしているが、その傍ら香港人に日本語も教えている。クラスでいつも話題に上るのが、日本の「連ドラ」。現在放送されて人気なのは『HERO』と『PS元気です、俊平』だが、とにかくキムタクやジャニーズ系の人気は高い。終わったと思ったら次もキムタク(ちなみに、『HERO』の前は『ビューティフルライフ』『ロンバケ』だった)。現地のドラマは毎日のようにやっているが、ストーリーがワンパターンの物が多く飽きられがちだ。それに引き換え、日本のドラマはバラエティに飛んでおり、アイデアが斬新と受けている。
VCD(ビデオCD、香港では一家に一台は必ずある)でも日本のドラマが売れている。第一話から最終回までカートンに入って売っていて、コピーCDだと一カートン四千円弱(出演者によって値段が違う、キムタクは高い)。ちなみにコピーは違法だが、本物は倍の値段なので、皆コピーを買っている。


香港の字幕は教師泣かせ

香港にはテレビ局が二局しかなく、公用語の広東語と英語での放送が行われている。日本の番組は広東語の吹き替え版と、広東語もしくは北京語(標準語)の字幕版がある。香港のアフレコはあまりうまくない。日本語を勉強している人やアイドルが好きな人は、当然字幕版で見る。しかし、香港の放送局が字幕を作成している場合、字幕とセリフが全然違う場合があり、ひどいのになると八割位しか合っていない。生徒にもちゃんと説明をしてあげないと、間違った日本語を覚えてしまう。例えば、「やったー」が「発達!」と訳してあるのを見た。また、日本語には様々な言い回しがあることを教えないと、女生徒から「ちくしょー」「あんたにはかんけーねーよ」「ふざけるな」とか言われる(笑)。しかし、日本語教育が発達している台湾で翻訳されたVCDは、ほぼパーフェクトに近い。香港の日本語のレベルはまだまだだと実感する。日本語教師の一人として、頑張らなければ。



タヒチから Ia Ora na (こんにちは)(Augst, 2001)
by Ikuko Uchinuno タヒチ在住

アイタ・ペア・ペアの精神

青い海。白い砂浜。黒真珠。水上コテージに泊まり都会のあわただしさを忘れ、のんびりと過ごす・・・。日本から約11時間の楽園、ここフランス領ポリネシアは118の島からなり、最大面積のタヒチ島ですら全周囲が180キロほど。人口は約22万5千でその7割が首都パペーテに集中している。
 この国をベースにエアータヒチヌイの客室乗務員として働いて早3年、パペーテ〜東京、パペーテ〜大阪を月に3回程往復している私から見たタヒチ人とは・・・。
 彼らはいつも陽気でおおらか。気分が乗ればよい仕事をするし、乗らなければ駄目。彼らに何かを頼んで忘れられても、いろんな事に時間がかかっても決して悪気があるわけではない。島の生活に即して飾らず、いつも自然体 aita pe'ape'a(タヒチ語で気にしない、大した事はないと言う意味)の精神なのだ。
 パペーテのカフェでフランス人の友人マドレーヌとランチを一緒にとった時の事。サラダを注文し食べていた彼女が、レタスの後ろにクモを発見。ウエイトレスに文句を言ったら"Ah bon"(あら、そう)で終わってしまった。

タヒチのSASHIMI(刺身)

そんなタヒチで日本人がビックリする事の一つに、どこのレストランに行っても「サシミ」があることが挙げられる。この「サシミ」の定義は大ざっぱである。キャベツの千切り(といってもかなりざく切り)の上に薄くスライスしたマグロ(タヒチのマグロは脂がのっていないのでさっぱりしている)が盛られており、つけ合わせはご飯かフランスパン。そしてわさび醤油のかわりに特製ソースにつけて頂く。ソースの中身はマスタード、オイスターソース、トマトソース、醤油、サラダオイル、セサミオイル、にんにく、しょうがなど。私の住んでいるアパートの大家さんの奥さんが作る「サシミ」ソースは美味!皆さんもタヒチに来たらこの「サシミ」、ぜひ試してみては?

ハネムーナーへのアドバイス?

日本からタヒチへの旅行者の多くはハネムーナー。そして、初めての機内食を楽しみにしている人も多い。東京〜タヒチ線の場合、時差の関係でお食事は成田出発後(昼食)と、パペーテ到着前(朝食)の二回となる。いずれもハーフトレーで食事の量が少ない。一応、おにぎり、サンドイッチ、カップヌードルをギャレーに用意しているが人数分あるわけではないので、トラブルの素になることも。先日も、この間食があたらず、ミールチョイス(お肉かお魚)もできなかった新婚さん(旦那さん)の不満が爆発してしまった。奥さんが「別にしかたないでしょ」となだめているのに、全然ダメ。かわいそうに、ついに喧嘩が始まってしまった。旅馴れた人は、機内に"しゅうまい弁当"など持ち込み食べている。備えあればうれいなし、タヒチ路線に乗る時は食べ物持ち込みは必至かも(特にハネムーナーは・・・)。



ムッカ・パッツァで消える名物料理 (April, 2001)
by 坂口まり (ヴィツェンツァ在住)

ローマ名物パイアータ(牛の腸料理)や、ポピュラーなチェルベッロ・フリット(牛の脳みそのフライ)がイタリアの食卓から姿を消し、フィレンツェ名物の豪快なTボーンステーキも、この3月に販売禁止になってしまった。理由は、今やヨーロッパ中に蔓延している狂牛病=ムッカ・パッツァ=パニック。
九〇年に英国で起こった第一次狂牛病パニックの際は「対岸の火事」とばかりに、イギリスからの食肉輸入を禁止した程度だった。が、今回は感染源とされている動物性飼料の製造と使用の禁止、また一月一日付で国内産の成牛に対する検査を決定。その結旺、イタリア国内でも十件の感染例が発見された。EUでは狂牛病の原因とされるプリオンというたんぱく質が特に多く含まれる、脳、脊髄、舌、脾臓、胸腺、腸といった部唖の販売を規制するように各国に呼びかけている。
牛の脳みそ料理はトロリとした触感で上質のあん肝のような味わいがある。また、豪快な骨付きステーキを口にできないのは淋しい。ニュースによると、フィレンツェではTボーンステーキを惜しむ「お葬式」が行われたくらいである。
元来、根が楽天的なイタリア人消費者の反応は、『おいしいものは死んでも食べ続けるさ』とか『私はもともとパッツァ(クレイジー)だから、平気よ』などと強気な人が多い。だが、「狂牛病の犠牲者、最終的には二〇万人以上か 」などというニュースが流れる中、牛肉を口にするにはよほどの勇気が必要だ。国内消費が四〇%以上も落ち込んでいることや、精肉店のおやじさんの暗い表情を見ると事態の深刻さがうかがわれる。広場で焼肉を無料でふるまうなど懸命の努力を重ねている牛肉業界だが、追い討ちをかけるように世界的に大流行し始めた口蹄疫とのダブルパンチで先行きは暗いようだ。
さて、そんな中、活気付いているのが牛肉以外の精肉市場。食の国のイタリアだけあって、以前から豚、鶏はもちろん、ウサギ、馬、七蔓鳥なども食卓ではお馴染みだが、ここに来てその消費裏がグンと伸びている。特に注目はダチョウ。見た目も味も牛肉に似ていて、栄養価も高い。肉だけでなく皮はバッグや靴になるし、羽は服飾やインテリアに、タマゴの殻は装飾品として利用できるところも人気なのである。
最後に、簡単でおいしい我が家のおすすめレシピをご紹介しよう。

【 ダチョウのサフラン風味 】

1 ダチョウのモモ薄切り肉三〇〇gに塩、こしょうをして小麦粉をまぶし、バター大さじ1とサラダ油大さじ2をひいたフライパンで焼き色をつける
2 大さじ3杯の水にサフラン少々を加え、数秒間沸騰させる。
3 肉を取り出したフライパンの中に、2を加え、よくかき混ぜながら沸騰させる。
4 再び肉を加え、ソースにとろみがついたらできあがり。バターライス、茹でジャガイモなどシンプルな付けあわせと一緒に熱いうちにどうぞ。



韓国発『猟奇的』話題アレ・コレ (Feb., 2001)
by 上野うみ(テグ市在住)

韓国の若者社会を表現するキーワードは「猟奇的」。二〇〇〇年初め頃から使われ始めたこの言葉、辞書本来の意義とは違い「ちょっと変わった」「おかしな」と言うときに使うのが正解。例えばラジオ番組では、「あなたのまわりの猟奇的な話を大募集!」しているが、決して、連続バラバラ殺人事件の話を指すのではない。ネット上では、日本語講座に『猟奇的日本語』というコーナーが出来、好評を博している。初回は、「こんにちは」や「おはようございます」などのあいさつから教えるのが普通であるが、猟奇的日本語では、「おっはー」や「オッス」も混ぜて教えるというもの。登場人物も、「山田太郎さん」や「山本花子さん」ではなく、援助交際女子高生などが出てきて、「はじめまして、私はコギャルです。」などの練習問題をこなす。日本に対する大いなる皮肉とみるべきか、この『猟奇的日本語』かなりのヒット数だそうである。

日本ブームと言えば・・・

音楽の方面でも、韓国と日本の業界が正式なライセンス契約を結んだのを機に、日本ブームが到来。メロディは日本製・歌詞は韓国製という歌が急増中だ。尾崎豊の「I LOVE YOU」やなつかしの(?)「ダンシングオールナイト」「ジュリアにハートブレイク」などが次々にコリアンカバーされ、二十年も前の歌とは知らない韓国の若者たちが、日夜カラオケボックスで、声を張り上げている。

「部屋を出て行け!」 「出られない!」

さて、大学への進学率が日本より高い韓国。「修学能力検定試験」(日本で云うセンター試験)が十一月中旬に行われ、三月が大学の入学シーズンとなる。したがって、本来一、二月は新生活への期待で胸を膨らませた新入生の「お部屋探し」の時期なのだが・・・。不況のため、就職浪人の先輩たちが「司法試験」や「公務員試験」の準備で下宿の部屋を引き払わずにいるのである。立地条件のいいところは、軒並み「古参兵」のものだ。この時期を「値上げの時期」と睨んでいた大家さんにしてみれば、「古くからいる学生に出て行けとも言えないし、沈んだ雰囲気の学生に値段を上げるとも言えない」とのこと。青息吐息の先輩を眺める新入生も、「ストレスで髪の毛が抜けるような苦しい受験をやっと終えたと思ったら、今度は就職の心配。心の休まるときがないよ」と言っている。

猟奇的? 韓国のバレンタインデー

去る二月十四日、お菓子屋の陰謀でチョコレートを贈るのは韓国も同じ。特徴的なのは、韓国の贈り物の原則が「見栄えがして、かさばって、重いこと」。味やデザインは二の次、ゴテゴテにデコレイトされた花束などを贈る方も贈られる方も、嬉しそうに持って歩くのが、韓国的バレンタインデー。韓国の諺に「十回押して倒れない木はない」(笑)というものがあり、猛烈なアタックをよしとする。この日は、ただでさえ情熱的な民族の血に、キムチの辛さをも凌駕する甘味が加わるようだ。



トルコ:ミレニアムは民族大移動? (Dec., 2000)
by ハクセヴェル・ひろ子(イスタンブール在住)

 かの方舟を造ったノアが洪水の後にたどり着いたアララット山があり、かつて聖母マリアが晩年を過ごし、聖パウロが布教のため伝道した地でもあり、またサンタクロースこと聖ニコラスの出身地でもある現在のトルコ共和国。ところが、トルコ人のルーツは六世紀頃から突厥(現・中国領)より移動してきた民族であり、国民の九〇%以上がイスラム教徒。キリスト教に縁の遺跡が山ほどあっても、所詮、異教徒の遺産という訳。キリスト誕生から二千年の節目にあたるミレニアムにも目もくれず、なんとも勿体ない話です。
 しかしトルコにキリスト教色がないかと言うと、そうでもなく、イスタンブール各地のショッピングセンターでは、年末になるとどう見てもクリスマス風の派手なツリー(サンタのかわりに熊のぬいぐるみやスヌーピー等が飾られている)や、赤や金のモールが登場するのです。
 さてそんなトルコの年末年始ですが、十一月の二十日から十二月の二十六日までラマザン(断食の月)で、十二月二十七日から二十九日はラマザン・バイラムという断食明けのお祭りを迎えます。昨年までの三年間は断食と新年が重なって、二千年のカウントダウンを除いてはとっても地味だったのですが、今年こそは元旦にお祝い気分を味わえそうです。
 ここで日本人には馴染みの薄い『断食』について。断食は「三十日間食事を絶ち、食事を満足に食べられない人々の苦しみを知る」という、イスラム教徒に課せられた義務のひとつ。細かい決まりはいろいろあるようですが、夜明けのコーランの祈り(=エザン)から日没のエザンの間に食事、水分を摂らないのが原則です。夜明け前の食事をサフル、日没後の食事をイフタルといいますが、サフルは眠い目をこすりながら、イフタルはぺこぺこのお腹をなだめるために次から次へと食べまくるので胃袋が踊ってなかなか大変。私が数年前に夫と友人夫婦でレストランにイフタルを食べに行った時は、三階建てのレストランが究極にお腹を空かせた人々で満席。エザンとともに数百人が一斉に食べ始める様子は壮絶!でした。
 さて、苦しい断食を終えて盛大に祝うのがラマザン・バイラム、またの名をシェケル・バイラム。シェケルとは砂糖とかキャンデーの意味で、親戚や友人宅をまわりながら、断食疲れの胃袋にそれは甘い、甘いお菓子を詰め込むのです。バイラムは日本のお盆や正月のように故郷で祝うのが普通で、トルコはさながら民族大移動に。いつもはガラガラで飛ばし放題の高速道路が制限速度を守る(!)車で渋滞します。今年は年末にラマザン・バイラム、しかも仕事始めが一月二日なので、ひょっとすると西欧諸国がミレニアムの花火を打ち上げて盛り上がっている頃、トルコ国民は極限状態のお腹を抱えて倒れているか、あるいは移動疲れで早々と寝ているのかもしれません・・・。


サバイバルゲームに熱くなるアメリカ人 (Oct., 2000)
by オースティン・勢津子(フロリダ在住)

『サバイバー』を耳にしたことがあるだろうか? 全米で視聴率四〇%を超えた、CBSの超人気TV番組である。一般応募者の中から選び出した十六人を無人島に送り、サバイバル生活の三日目毎に〈彼ら〉に投票を行わせ、落選者を島から追い出す。最終日まで残り続けた「サバイバー」には百万ドル(約一億円!)の賞金が進呈されるというショー番組だ。視聴者は原始的な生活を余儀なくされた彼らの悪戦苦闘ぶりや人間関係を見ながら、今日は誰が落選するのか? 誰が百万ドルを獲得するのか? と、テレビの前に釘付けになるのだ。
 さて、『サバイバー』にやや負けてはいるものの、全米中が注目しているサバイバルゲームがもう一つ。アメリカ最大規模のサバイバルゲーム=『大統領選』である。候補者はメディアの批判やおちょくりに耐え、献金をかき集め、いかに国民の支持を得、そして生き残るかという試練に挑戦している。

◎「悪い成績は暴露される」
 大統領候補者ともなると、ハーバードやエール等、名門大学を卒業している人がほとんどだが、メディアは当時の成績表まで発表。ブッシュ候補はエール大学を「平均C」で卒業。優秀とはとても言えない成績で米国民も唖然となった。三十二年前の成績がどれくらいの価値があるか難しいところではある。日本の総理の成績がどうだったか気になるのは私だけであろうか?

◎「笑いものになる」
 選挙メディアのどん欲さ、それはもう日本のワイドショーなみ。今回は有力候補のアル・ゴア現副大統領と、四十一代大統領ブッシュの息子ジョージ・ブッシュに集中した。トークショーやコメディ番組にいたっては、無表情と言われるゴアをロボット扱いしたり、ブッシュのコカイン疑惑をネタにしたジョークの連発。

◎「ウソはばれる」
 一方、候補者の言動の監視には抜け目がない。ゴア候補が医療問題の身近な例として、彼の犬用の三倍の値段で義母の関節炎の薬を買っているという話をした。しかし、彼の家には犬がいない事が明らかになり、ひんしゅくを買う事になった。

◎「体力が問われる」
 そんなアメリカでは、健康を証明するには診断書の公開が一番とされる。元首は国内外の勤めもあり、かなりの体力を必要とする。有能な人を選んでも、どこかの国のように亡くなってしまっては元も子もないのは確かだ。

◆ ◆ ◆

さて、在米日本人の私にとって投票自体は無関係。だが、今回我が家ではしょっぱなから盛り上がった。七十五歳になる義祖母のン十年も昔の元カレ、マケイン氏が候補にあがったからだ(彼は、献金が上手く集められず辞退する事になったのだが・・・)。それはともかく、ゴアとブッシュの一騎打ちはかなりの接戦だ。予想のつき難いものほど興味をそそるものはない。どちらが「サバイバー」となるか楽しみである。